究極のナチュラルと、洗練された品格―― チョン・ドヨンが示す大人の美学

― 年齢を重ねることを、美しさに変える女優 ―

韓国女優には、自然体で魅力的な方がたくさんいますが、その中でも、40代・50代の女性たちから特別な支持を集めている存在が、チョン・ドヨンです。

チョン・ドヨン(전도연/1973年2月11日生まれ)は、韓国で「女優の中の女優」「演技の神」と称される、映画界を代表するベテラン女優です。

2007年、映画シークレット・サンシャインで、第60回カンヌ国際映画祭 主演女優賞を韓国人として初めて受賞。

この快挙により、名実ともに世界的な女優としての地位を確立しました。


目次

究極のナチュラルと、洗練された品格

スクリーンの中では「演技の怪物」と呼ばれるチョン・ドヨンですが、私生活や公の場で見せる姿は、究極にナチュラルでありながら、どこまでも品があります。

この相反する要素のバランスこそが、40代・50代の女性たちに支持され、ロールモデルとして語られる理由なのだと感じます。

飾らない美しさという選択

50代になった今も、彼女はシワや年齢の痕跡を隠そうとしません。

Tシャツにデニムといったシンプルな装いが、驚くほど自然に似合う女優の一人です。

体に馴染んだデニムをまるで自分の一部のように着こなす姿は、多くの女性に勇気を与えています。

一方で、映画祭のレッドカーペットでは、背中が大きく開いたドレスなどヘルシーな色気を感じさせる大胆な装いも披露します。

隠すのではなく、誇示するのでもない。自分の年齢と身体を引き受けた上での大胆さ。
その潔さもまた、彼女の美学です。


年齢に抗わず、受け入れるという美学

「老い」を否定しないという姿勢

チョン・ドヨンが「40代・50代のロールモデル」とされる最大の理由は、エイジングに対するその姿勢にあります。

2024年のインタビューで、彼女はこう語っています。

「鏡を見るたびに増えるシワに驚くこともあります。

けれど、それは私がこれまで笑い、泣き、生きてきた証拠。

それを消すことは、

自分の人生の一部を消すことと同じだと思うのです。」

カメラの前でも、自然でいること

ドラマ「LOST 人間失格」でも話題になりましたが、彼女はカメラの前でもソバカスや細かなシワを隠すような厚塗りメイクを好みません。

年齢を重ねることは、その人の歴史が刻まれること。

彼女はそう考え、「自然であること」を美しさの基準に置いています。


役と人生に誠実であるための身体

若く見せるためではなく、役に向き合うために

映画キル・ボクスンで披露した、しなやかで力強いアクションも印象的でした。

週に数回のウェイトトレーニングやピラティスを長く続けており、スリムでありながら芯のある身体を維持しています。

それは「若く見せるため」ではなく、役にきちんと向き合うための女優としての誠実さの表れのように感じます。


「母親」という、もう一つの大切な人生

女優から、一人の人間へ戻る場所

2007年の結婚、2009年の長女出産。

彼女にとって家庭は、「女優チョン・ドヨン」を「人間チョン・ドヨン」に戻してくれる大切な場所と語ります。

仕事場では女優、家に帰れば一人の母。

その切り替えを徹底し、娘のために朝食を作り、学校へ送り出すというごく普通の日常を何よりも大切にしています。

また、料理好きとしても知られ、旬の食材を使った食事を楽しみながら、「美味しく食べて、その分動く」というスタイルを貫いています。

年齢を重ねることが、誇りになる生き方

チョン・ドヨンの魅力は、演技力だけではありません。

年齢を重ねること、役割が変わること、人生のフェーズが移り変わること。

それらすべてを否定せず、静かに受け入れながらなお前に進み続けているところにあります。

40代、50代を迎えることが、不安ではなく誇りになり得るのだと。

彼女の生き方はそう教えてくれるように感じます。


わたしのおすすめしたいチョン・ドヨンの作品 5選

1. 藁にもすがる獣たち

欲望と絶望が絡み合う群像劇の中で、

チョン・ドヨンは、追い詰められた人間の現実を生々しく体現します。

善悪では割り切れない感情を、

静かな迫力で見せる一本です。

2.君の誕生日

セウォル号事件で子どもを失った母親を演じた作品。

感情を爆発させるのではなく、

言葉にならない喪失を、沈黙で表現しています。

見る側にも覚悟を求める映画です。


3. LOST 人間失格

人生の途中で立ち止まった大人たちの物語。

チョン・ドヨンは、

疲れきった心と、それでも生き続ける人間の姿を

驚くほど自然に演じています。

40代以降の視聴者ほど深く刺さるドラマです。


4. シークレット・サンシャイン

彼女を世界的女優へと押し上げた代表作。

信仰、喪失、赦しという重いテーマを、

感情を誇張せずに演じきった名演は圧巻です。

カンヌ主演女優賞受賞も納得の一本。


5. 男と女

異国で出会った男女の、

言葉にできない関係を描いた大人の恋愛映画。

抑えた感情の中ににじむ孤独と欲望が、

チョン・ドヨンの成熟した魅力を際立たせます。

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