韓国のすごい女性たちを紹介したいと思い、
今回から「韓国の女性起業家」シリーズを書くことにしました。
第一弾は、日本でもすっかりおなじみの子供服・ベビー用品ブランド Konny(コニー)です。
抱っこ紐が特に有名ですよね。
「日本で生まれた赤ちゃんの3人に1人は、コニーの抱っこ紐を使っている」と言われるほど、身近な存在になっています。
私自身も、抱っこ紐をはじめ、下着やスタイ、パジャマ、服など、いろいろなアイテムを愛用しています。
手触りがよくて、着脱しやすくて、しかもかわいい。
使うたびに「よく考えられてるなあ」と感じるブランドです。
そんなコニーを作った人って、
いったいどんな女性なんだろう?
そう思って調べてみたのが、この記事のきっかけでした。
首ヘルニアのママが世界的な抱っこ紐ブランドを作るまで
コニーの創業者はエリン・リム(イム・イラン)CEO。
ご自身の出産と育児の経験から、夫のキム・ドンヒョンさんと一緒に2017年、韓国でブランドを立ち上げました。
幸せなはずの育児が「挫折」の連続に
「なぜ誰も、育児がこんなに大変だと教えてくれなかったの?」
これは、エリンさんが実際に口にした言葉だそうです。
結婚して、待望の子どもを授かった彼女。
でも、待っていたのは想像以上に過酷な日々でした。
3時間おきの授乳。終わらないオムツ替え。寝不足と、体力の限界。
「どうして、こんなに大変なことを誰もちゃんと教えてくれなかったんだろう」
育児のリアルな苦労が、社会の中でほとんど共有されていないことに彼女は強い孤独を感じたといいます。
決定打となった「首ヘルニア」
追い打ちをかけるように、彼女を襲ったのが首ヘルニア。
当時使えるものは「重い」「かさばる」「デザインがいまひとつ」というものばかり。
安全で、長時間使えて、しかも「使いたいと思える」抱っこ紐が見つかりませんでした。
10種類以上試しても納得できず不満を夫にこぼしたとき、返ってきたのがこの一言。
「だったら、自分で作ってみたら?」
この言葉が、すべての始まりでした。
「知識ゼロ」からの無謀な挑戦
アパレルの経験は、ほぼゼロ。
それでもエリンさんは、手探りで動き始めます。
東大門の市場に通い、専門用語も分からないまま話しかけ、時には露骨に無視されながらも諦めませんでした。
ようやく辿り着いた縫製工場は、正直、近寄るのも怖い雰囲気だったそうです。
それでも勇気を出して、一人で交渉に挑みました。
「これだけは妥協しない」と決めたこと
コニーの着け心地の良さは、偶然ではありません。
理想のフィット感と安全性を実現するため、ソウルの生地市場を訪ね歩き、高品質な糸(コアサ)を使った生地を開発するまでに2年を要しました。
また、目に見えない部分でも品質に妥協せず、高価な糸を使っていることを工場長に驚かれながらも、製品の完成度を最優先しました。この品質へのこだわりが、多くの競合他社が追随する業界標準を作り上げました。
「ママが作った」からこそ、生まれたコニー(Konny)
片手で子どもを抱き、もう片方の手でパソコンを打つ日々。
その大変さそのものが、コニーというブランドを形作っていきました。
「不慣れなことや、苦しいことを乗り越えてこそ、本当に必要なものが生まれる」
そんな思いから生まれた抱っこ紐は、今では世界中のママ・パパに使われています。
試作品はすべて、自分の息子でテスト。
「ママとして、これを本当に使いたいか」その目線を何より大切にしていたそうです。
ブランド名「コニー」は、第一子の愛称から取ったものだそうです。
世界中のパパママに愛されるブランドに
ソウルで子育てしながら、世界へ
エリンさんは、2017年の創業当初からオフィスを持たない経営を実践しています。
自身も育児をしながら働く母親として、自宅やカフェなど、育児と両立しやすい環境で仕事を続けてきました。
現在、コニーは世界116か国で100万人以上の親に愛用されるブランドへと成長しました。
海外の展示会や市場調査などで世界各地を飛び回ることもありますが、生活の基盤は家族とともにソウルにあるそう。
家庭も大切にしながら世界中を飛び回るとてもかっこいい女性です。
世界中のママ・パパのためにリモートワークで働きやすい会社づくり
コニーのスタッフのほとんどが女性で、その多くが母親。
創業当初からリモートワークを前提とし、子育てと仕事の両立を支援する柔軟な働き方を先駆的に導入しています。
それはエリンさん自身が、育児と仕事を両立する母親だからこその選択でした。
コニーのミッションは「ママとパパの暮らしをもっと楽に、スタイリッシュに」。
その考えは、スタッフの働き方にもしっかりと反映されているように感じます。
印象的だったのは、リモート会議の前にスモールトークの時間を設けている点です。
仕事の話に入る前に、日常の会話を通してお互いを知ることが、円滑なチームづくりには欠かせないとエリンさんは語っています。
リモートワークだからこそ、意識的にスタッフ同士のコミュニケーションの場をつくり、仕事を進めやすい環境を整えている。その姿勢からは、組織や働く人への配慮が自然に伝わってきます。
こうした細やかな工夫にも、エリンさんが信頼されるリーダーである理由が表れていると感じました。
「不便さ」を、そのままにしなかった人
エリンさんは、「自分が経験した不便さをそのままにせず、そこからインスピレーションを得て改善することが私たちの仕事」と語っており、その哲学がコニーの成長を支えています。
育児の中で感じた「つらさ」や「不便さ」を、ただ我慢するのではなく、行動に変えた彼女。
不便さをただ嘆くのではなく、それを解決するために行動した彼女の姿は、不便さを解決して努力した先にはいつか誰かを助けるかもしれない。と勇気をもらえます。
