韓国の女性は、なぜ肌にツヤがあり、どこかエネルギッシュに見えるのでしょうか。
その理由は、最新の美容医療やシートマスクだけでは説明できません。
背景にあるのは、数千年の歴史を持つ伝統医学を、現代のライフスタイルに自然に取り入れてきた「韓方(ハンバン)」という考え方。
日本では「漢方=苦い薬」というイメージが強いかもしれませんが、韓国では、韓方は特別なものではなく、母から娘へと受け継がれてきた日常的なセルフケアの一部です。
今回は、日本の大人の女性が知っておきたい、韓国女性の暮らしに根づく韓方の考え方と、その取り入れ方をまとめました。
韓方(ハンバン)とは?:自分の「体質」を知ることから始まる医学
韓方は、中国の中医学をルーツに持ちながら、韓国の風土や人々の体質に合わせて独自に発展してきた医学です。
体の不調を部分的に見るのではなく、全体のバランスとして捉えるのが特徴とされています。
「四象(ササン)体質」というパーソナライズ・ケア
韓方の大きな特徴のひとつが、「四象体質(ササンチェジル)」という体質分類です。
人を以下の4タイプに分け、それぞれに合ったケアを考えます。
太陽人: 積極的でリーダーシップがあるが、上半身ががっしりしやすい。
太陰人: 粘り強く、腰回りに肉がつきやすい体質。
少陽人: 情熱的で社交的だが、せっかちで熱がこもりやすい。
少陰人: 慎重で内向的、冷え性で胃腸が弱い傾向。
体質によって、合う食べ物や太り方、ストレスの感じ方が違うと考えられているため、韓国では「流行っているから」という理由だけで健康法を選ばない人が多いのも特徴です。
まずは自分の体を知る、という考え方がベースにあります。
「予防」を大切にするという考え方
韓方では、不調が出てから対処するのではなく、日々の生活でバランスを整えることが重視されます。
30代以降、「なんとなく疲れやすい」「調子が安定しない」と感じることが増える世代にとって、この“未病”という考え方は、無理なく取り入れやすいものかもしれません。
韓国社会における「韓医師(ハニサ)」の存在
日本と大きく異なる点のひとつが、韓方を扱う専門家の立ち位置です。
韓国では、韓医師(ハニサ)は西洋医学の医師と同等の国家資格を持つ医療専門職として位置づけられています。
1951年に制定された医療法により、韓国では西洋医学と韓医学が並立する二元化システムが採用されました。
韓医師になるには6年制大学を卒業し、国家試験に合格する必要があります。
街中の韓医院(ハニウォン)では、診察や鍼灸、一部の処方に健康保険が適用されることもあり、大病院では西洋医学と韓医学が協力して診療を行うケースも見られます。
韓方は、民間療法というよりも、制度として確立された医療のひとつとして生活に根づいています。
韓国女性の日常に溶け込む、韓方のある暮らし
では、実際に韓国の女性たちはどのように韓方を生活に取り入れているのでしょうか。
朝の習慣:冷蔵庫にある韓方エキス「즙(ジュプ)」
韓国の家庭の冷蔵庫でよく見かけるのが、アルミパウチに入った果物や野菜、韓方薬材を絞った韓方エキス즙(ジュプ)です。
パウチ型で密封されており、カボチャ、タマネギ、高麗人参などが人気です。日常の健康維持や美容目的で、濃縮されたエキスをその場で飲む習慣があります。
体質に合わせて処方されたものや、高麗人参(紅参)のエキスを、朝に少量飲むのが習慣になっている人もいます。
最近では、スティックタイプの商品も増え、忙しい日のエナジードリンク代わりに取り入れる女性も多いようです。
食生活:食べ物で体を整えるという発想
「薬食同源」という考え方は、韓国の食文化に深く根づいています。
冷えやすい日は体を温める食材を選ぶなど、無意識のうちにバランスを意識している人も少なくありません。
むくみが気になる時のトウモロコシのひげ茶や、喉の不調時に飲む梨とキキョウのお茶など、コンビニ飲料の選び方にも目的があります。
スキンケア:成分で選ぶ韓方コスメ
韓方由来の成分は、スキンケアにも幅広く使われています。高麗人参を使った高級ラインから、ドクダミやヨモギ配合のシートマスクまで、日常使いしやすいアイテムも増えています。
ブランド名だけでなく、「今の肌状態に合う成分かどうか」を見て選ぶのが韓国流です。ライフステージの節目:産後ケアとダイエット
出産後や体調の変化が大きい時期には、韓医院を頼る人も多くいます。
産後調理院では、体の回復をサポートするために韓方薬が提供されることもあります。
ダイエットにおいても、食事制限だけでなく、体の巡りを整えるという視点が重視されています。
自宅でのケア:温めることを大切に
「冷えを避けるという考え方は、自宅でのセルフケアにも取り入れられています。
ヨモギ蒸しやハーブ入浴など、無理のない方法で体を温める習慣を続ける人も多いようです。
自分に合った韓方を知るには?
まずは、書籍やオンラインの簡易チェックで、自分の体質を知るところから始める人が多いようです。
より詳しく知りたい場合は、韓国旅行の際に韓医院で診断を受けるという選択肢もあります。
顔や体型、声などをもとに総合的に判断し、体の反応を見ながら少しずつ調整していくのが一般的です。
最近では、体質診断と韓方茶を楽しめる体験型プランも人気があります。
韓方は、自分の体と向き合うためのヒント
韓国女性の美しさは、特別なことをしているからというより、日々の小さな選択の積み重ねによるものかもしれません。
体調の変化に気づき、無理をせず、必要なケアを選ぶ。
もし最近「なんとなく調子が出ない」と感じているなら、まずはお茶を選ぶところから、韓方の考え方を取り入れてみてもいいのかもしれません。
韓方は、自分の体を大切にするための、ひとつの選択肢です。
